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『無精子症のカップルが妊娠するためにできること!不妊治療の種類と流れ』

無精子症とは、精液中に精子が全くいない状態のことで、男性不妊の原因の一つです。 無精子症の男性は自然妊娠することが難しいですが、諦める必要はありません。 今回は、無精子症の原因や種類、治療法や妊活法、費用や保険適用のポイントなどを詳しく解説します。 この記事を読むことで、あなたは無精子症に対する正しい知識を得られるだけでなく、妊娠への希望や自信も持てるようになるでしょう。

無精子症の原因と種類

無精子症の原因は様々ですが、大きく分けて閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症の2種類に分類されます

  • 閉塞性無精子症:精巣内で正常に精子が作られているものの、精巣から尿道へと通じる管(精管)が詰まっていたり切断されていたりするために、精液中に精子が出てこない状態です。 精管の閉塞や切断は、性感染症や尿路感染症、ヘルニア手術や割礼などの外傷や手術、先天的な欠損などが原因で起こります。
  • 非閉塞性無精子症:精巣内で精子が十分に作られていないか、全く作られていない状態です。 精巣の造精機能障害は、染色体異常や遺伝子異常、ホルモン異常、自己免疫疾患、感染症(おたふくかぜなど)、放射線や化学物質への曝露、加齢などが原因で起こります。

無精子症の診断は、主に精液検査で行われます。 精液検査では、射精した精液を顕微鏡で観察して、その量や色や匂いだけでなく、その中に含まれる精子の数や形や動きなどを評価します。 精液中に一定数以上の正常な形と動きを持つ精子が見つからない場合は、無精子症と診断されます

無精子症の治療法と妊活法

無精子症の治療法は、その原因や種類によって異なりますが、大きく分けて以下の3つの方法があります

  • 薬物療法:ホルモン異常が原因の非閉塞性無精子症の場合は、ホルモン補充剤や排卵誘発剤などの薬物療法で精子形成を促すことができる場合があります。 しかし、薬物療法で精子が回復する確率は低く、副作用もあるため、医師と相談して決める必要があります。
  • 精子採取手術:閉塞性無精子症や一部の非閉塞性無精子症の場合は、精巣や精巣上体から直接精子を採取する手術が行われます。 精子採取手術には、TESE(精巣内精子採取術)、MESA(精巣上体管内精子採取術)、PESA(経皮的精巣上体管内精子採取術)などの方法があります。 採取した精子は凍結保存され、後日体外受精や顕微授精に使用されます。
  • 精管再建手術:閉塞性無精子症で、精管の閉塞や切断が明確に特定できる場合は、精管再建手術という方法があります。 精管再建手術では、閉塞や切断された部分をつなぎ合わせるか、バイパスすることで、自然妊娠を目指すことができます。 しかし、この手術は高度な技術を要するため、成功率は低く、費用も高いです。

無精子症の男性が妊活をする場合は、上記の治療法と併せて、以下のような妊活法も検討することができます

  • 顕微授精:体外受精の一種で、採取した卵子に直接1つの精子を注入する方法です。 精液中に少量でも正常な形と動きを持つ精子があれば可能です。 顕微授精は通常の体外受精よりも受精率や妊娠率が高いとされています。
  • 精子提供:自分の精子ではなく、第三者から提供された精子を使用する方法です。 精子提供は非配偶者間人工授精(AID)と呼ばれ、日本ではまだ認知度が低く、法的な規制もありません。 精子提供を受ける場合は、提供者の選択や匿名性、生まれた子供の出自などについて十分に考慮する必要があります。

顕微授精による体外受精のメリット

顕微授精による体外受精は、無精子症や少数しか正常な形と動きを持たない男性でも妊娠・出産への可能性を高めることができる優れた治療法です。 顕微授精による体外受精のメリットは以下の通りです

    • 受精率や妊娠率が高い:顕微授精では、卵子に直接1つの精子を注入することで、受精の確率を高めます。 また、精子の選別によって、染色体異常や遺伝病のリスクを低減することもできます。 顕微授精は通常の体外受精よりも受精率や妊娠率が高く、無精子症や少数しか正常な形と動きを持たない男性でも、妊娠・出産への可能性を高めることができます。
    • 精子採取手術と併用できる:顕微授精では、精巣や精巣上体から直接採取した精子を使用することができます。 これにより、閉塞性無精子症や一部の非閉塞性無精子症の男性でも、自分の遺伝子を引き継ぐことができます。 精子採取手術と顕微授精はセットで行われることが多く、採取した精子は凍結保存されて後日使用されます。
    • 精子提供よりも費用が安い:顕微授精では、自分の精子を使用することができますが、精子提供では第三者から提供された精子を使用します。 精子提供は非配偶者間人工授精(AID)と呼ばれ、日本ではまだ認知度が低く、法的な規制もありません。 精子提供を受ける場合は、提供者の選択や匿名性、生まれた子供の出自などについて十分に考慮する必要があります。 また、精子提供は顕微授精よりも費用が高くなる場合があります。

    以上のように、顕微授精による体外受精は無精子症や少数しか正常な形と動きを持たない男性でも妊娠・出産への可能性を高めることができるメリットがあります。 しかし、顕微授精による体外受精にもデメリットやリスクがあります。 次の項では、顕微授精による体外受精のデメリットやリスクについて解説します。

     

    顕微授精による体外受精のデメリットとリスク

    顕微授精による体外受精は無精子症や少数しか正常な形と動きを持たない男性でも妊娠・出産への可能性を高めることができるメリットがありますが、デメリットやリスクもあります。 顕微授精による体外受精のデメリットやリスクは以下の通りです。

    • 費用が高い:顕微授精による体外受精は、通常の体外受精よりも技術的に難しく、機器や人材のコストも高いため、費用が高くなります。 また、顕微授精による体外受精は保険適用外の治療であるため、自己負担が必要です。 顕微授精による体外受精の費用は、施設や地域によって異なりますが、一回あたり約30万円~50万円程度かかると言われています。
    • 副作用や合併症がある:顕微授精による体外受精では、女性は排卵誘発剤や卵胞刺激ホルモンなどの薬を服用したり、注射したりする必要があります。 これらの薬には副作用や合併症があります。 副作用としては、頭痛や吐き気、腹痛や腹部膨満感、乳房の張りや敏感さなどがあります。 合併症としては、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠などがあります。 OHSSは卵巣が過剰に刺激されて腫れたり、液体が溜まったりする状態で、重症化すると呼吸困難や腎不全などを引き起こすことがあります。 多胎妊娠は2つ以上の卵子が受精して着床することで起こります。 多胎妊娠は流産や早産のリスクが高く、母体や胎児に負担がかかります。
    • 精子採取手術や精管再建手術にもリスクがある:顕微授精による体外受精では、男性は精子採取手術や精管再建手術を受ける場合があります。 これらの手術にもリスクがあります。 精子採取手術では、出血や感染、炎症、疼痛などの合併症が起こる可能性があります。 精管再建手術では、手術部位の感染や出血、神経損傷などの合併症が起こる可能性があります。 また、これらの手術は成功率が低く、再発する可能性もあります。

    以上のように、顕微授精による体外受精は無精子症や少数しか正常な形と動きを持たない男性でも妊娠・出産への可能性を高めることができるメリットがありますが、デメリットやリスクもあります。 顕微授精による体外受精を受けるかどうかは、医師と相談して決める必要があります。 顕微授精による体外受精を受ける場合は、副作用や合併症の予防や対処法についても十分に理解しておく必要があります。

     

    不妊治療の費用と保険適用のポイント

    不妊治療は、多くのカップルにとって大きな負担となることがあります。 特に、体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療は、費用が高く、保険適用されない場合が多いです。 しかし、不妊治療の費用や保険適用には、以下のようなポイントがあります。

    • 保険適用される不妊治療とされない不妊治療の違い:不妊治療は、保険適用されるものとされないものに分かれます。 保険適用される不妊治療とは、原因が明らかで、医学的に必要であると認められるものです。 例えば、ホルモン補充剤や排卵誘発剤などの薬物療法や、子宮内膜症や卵管閉塞などの手術などが該当します。 保険適用されない不妊治療とは、原因が不明であったり、医学的に必要ではないと判断されたりするものです。 例えば、体外受精や顕微授精などの人工授精や、精子提供や卵子提供などの第三者間人工授精などが該当します。
    • 不妊治療費用助成制度の利用:保険適用されない不妊治療でも、自治体によっては不妊治療費用助成制度というものがあります。 不妊治療費用助成制度とは、自治体が一定額を補助する制度で、受給条件や補助額は自治体によって異なります。 一般的には、年齢や所得や住所などが対象となります。 不妊治療費用助成制度を利用する場合は、事前に自治体に申請する必要があります。 不妊治療費用助成制度の詳細は[こちら]を参考にしてください。
    • 税金控除の利用:不妊治療費用は医療費控除の対象となります。 医療費控除とは、自分や家族の医療費が一定額を超えた場合に、所得税から控除される制度です。 医療費控除を受けるためには、医療費の領収書や診断書などを保存しておく必要があります。 医療費控除の詳細は[こちら]を参考にしてください。

    以上のように、不妊治療の費用や保険適用には、保険適用される不妊治療とされない不妊治療の違いや、不妊治療費用助成制度や税金控除の利用などのポイントがあります。 不妊治療を受ける場合は、これらのポイントを押さえておくことで、経済的な負担を軽減することができるでしょう。

     

    無精子症カップルが気をつける生活習慣

    無精子症の原因や治療法について解説しましたが、無精子症のカップルが妊娠・出産に向けて気をつけるべき生活習慣についても知っておく必要があります。 生活習慣は、精子の質や量に影響を与えるだけでなく、妊娠の成功率や胎児の発育にも関係します。 無精子症のカップルが気をつけるべき生活習慣は以下の通りです。

    • 健康的な食事:食事は体の栄養やホルモンのバランスに影響を与えます。 無精子症のカップルは、偏った食事や過度な摂取を避けて、バランスの良い食事を心掛ける必要があります。 特に、ビタミンCやビタミンE、亜鉛などは精子の形成や活性に重要な役割を果たします。 これらの栄養素は、柑橘類や緑黄色野菜、ナッツや海産物などに多く含まれています。 また、抗酸化作用のある食品も精子のDNA損傷を防ぐことができます。 抗酸化作用のある食品としては、トマトやブルーベリー、抹茶などがあります。
    • 適度な運動:運動は体の代謝や血行を良くし、ストレスを解消する効果があります。 無精子症のカップルは、適度な運動を習慣化することで、精子の質や量を改善することができます。 しかし、過度な運動は逆効果になることもあります。 過度な運動は体温を上昇させたり、ホルモンバランスを乱したりすることで、精子に悪影響を与える可能性があります。 無精子症のカップルは、週に3~4回程度、30分~1時間程度の中強度の運動を目安にすると良いでしょう。
    • 禁煙・禁酒:喫煙や飲酒は精子に有害な物質を体内に取り込むことになります。 喫煙や飲酒は精子の数や形や動きを低下させたり、DNA損傷を引き起こしたりすることが報告されています。 無精子症のカップルは、喫煙や飲酒を控えるか、できるだけ減らすことが望ましいです。 特に、不妊治療中や妊娠中は禁煙・禁酒を徹底する必要があります。
    • 睡眠・休息:睡眠や休息は体や心の回復に欠かせません。 睡眠不足や過労はストレスを増加させたり、ホルモンバランスを崩したりすることで、精子の質や量に悪影響を与える可能性があります。 無精子症のカップルは、毎日6~8時間程度の睡眠をとり、適度な休息をとることを心掛ける必要があります。 特に、不妊治療中や妊娠中は睡眠・休息の質を高めることが重要です。

    以上のように、無精子症のカップルが妊娠・出産に向けて気をつけるべき生活習慣は、健康的な食事や適度な運動、禁煙・禁酒、睡眠・休息などがあります。 これらの生活習慣は、精子の質や量に影響を与えるだけでなく、妊娠の成功率や胎児の発育にも関係します。 無精子症のカップルは、これらの生活習慣を改善することで、妊娠・出産への可能性を高めることができるでしょう。